藤のルーツ 第12回

初来日

1914年にドイツを出発して日本へ向かった4人のシスターたちが、第一次世界大戦のために航行を続けることができなくなり、スエズから故国ドイツへ戻ってからも戦争は思ったより長く続き、1918年11月にやっと終結しました。1918年春からスペイン風邪のパンデミックがヨーロッパだけではなく世界中を襲い、夥しい死者を出して1920年春に収束しました。

その収束を待っていたかのように、1920年5月31日に3人のシスターたちが北ドイツ・テュイネの本部修道院を出発し、日本へ向かいました。Sr.M.カンディダ、Sr.M.ジャン・ベルヒマンス、Sr.M.クサヴェラの3人です。フルダに立ち寄って、日本へ宣教師として派遣されるフランシスコ会のルカ・ベルニング神父様と共に、日本へ出発。ルカ神父様はテュイネの属するオスナブリュック教区の、当時のヴィルヘルム・ベルニング司教様の甥にあたる方です。

イタリアのトリエステでイタリアの汽船に乗り、長く暑い大変疲れる旅を続けて、やっと8月14日夜に船は無事に目的地の横浜港に入港しました。翌8月15日は「聖母被昇天祭」という大きな祭日で、横浜のカテドラルでミサに与り、その午後には秋田に向かう汽車の中。秋田の聖霊修道院に一泊して元気と体力をつけ、翌朝札幌へ向かって汽車と連絡船、そしてまた長い汽車の旅。やっと8月18日の朝7時半に札幌駅に無事に到着しました。

駅に出迎えてくださったのがキノルド師と数名の神父様、そして天使院のシスター2人。ご挨拶の後、おっかなびっくりで「人力車」に乗り、北15条東1丁目にあったフランシスコ修道院の教会へ行き、ミサに与ります。その後、天使院のシスターが北17条西1丁目のこれから住む家に案内してくださり、そこで6年前からこの家を守り続けてくれたおタキさんという若い女性に会いました。家の中はきれいに整理されており、西洋風に飾りつけまでしてあって感激。彼女たちは「第2の故郷」となるところに、とうとう着いたことを心から喜んで感謝しました。

いよいよこの第2の故郷で、「わたしは世の終わりまであなたたちと共にいる」と約束してくださったイエス・キリストに信頼して、苦労の多い新しい生活が始まりました。

左からSr.M.Candida, Sr.M.Xavera, Sr.M.Jeanne Berchmans
左からSr.M.Candida, Sr.M.Xavera, Sr.M.Jeanne Berchmans