5月16日(土)、カトリック北一条教会オルガニストの大野 敦子氏を講師にお迎えし、公開講座「カテドラルコンサートへの誘い」を開催しました。
今回のテーマにある「カテドラルコンサート」とは、北一条教会に現在のオルガン(フランス、ケルン社製)が2007年に設置されたのを機に始まったコンサートです。来たる5月30日(土)に行われる、赤枝 サンテソン 留果氏(第26代札幌コンサートホール専属オルガニスト)によるリサイタルで、25回目となります。
本研究所のオルガンをテーマとする公開講座は、このカテドラルコンサートを鑑賞する準備講座として企画・実行されてきましたが、コロナ禍を含む諸事情によりカテドラルコンサートが中断されるなか、講座の方は主にオルガン音楽の歴史に関する座学の講座として続けられてきました。
今回、カテドラルコンサートの再開にあたり、本講座も当初の目的に従い、北一条教会のオルガンを前にした準備講座として開講されることになりました。
講座では、まずオルガンの構造について取り上げられました。
オルガンの基本構造は、送風装置、鍵盤、パイプの三要素から成り立っています。鍵盤を押すと空気がパイプに流れ音を発するという単純な構造ではありますが、音色を決めるパイプの種類や形状や材質は多様で、空気を流すパイプの選択や組み合わせにも仕組みがあり、また複数の鍵盤を連動さるための装置やクレッシェンド・デクレッシェンドを表現するための構造を備えるなど、実際の演奏におけるメカニズムはたいへん複雑です。
実は、オルガンは、ピアノのような規格品ではなく、用途や設置場所に応じ注文によって作られる楽器で、それぞれのオルガンごとに鍵盤の数や段数、備えているパイプの数や種類に違いが生まれます。また、演奏の際の音色の組み合わせについて指示が無いことも少なくなく、その分、演奏者の解釈が曲に様々なニュアンスを与える可能性も生まれ、このような点もオルガン演奏の聴きどころとなります。
講座の後半では、5月30日(土)のコンサート・プログラムで取り上げられる、スウェーリンク、バッハ、デュプレ、ブラームス、フランク、メンデルスゾーンといった作曲家に焦点をあて、演奏家、教育者としての側面や音楽史上の貢献、また演奏される楽曲の成り立ちなどについても詳しい説明をいただきました。
最後に質疑応答を行いましたが、パイプの金属の材質、札幌や日本各地にあるケルン社製のオルガンの違い、オルガンのメーンテナンス、北一条教会の構造に合わせた設置の仕方、さらにはオルガンの奏法に関することまで、さまざまな話題が取り上げられました。
今回の講座では、北一条教会にオルガンが設置された時の様子をおさめた動画を視聴したり、説明の所々に大野氏による演奏が交えられたり、さらには参加者の皆さまにもオルガンに触れていただいたりと、充実した内容になったかと思われますが、準備講座としての役割がいくらかでも果たせとすれば幸いに存じます。
講演者の大野敦子氏、参加者の皆さまにあらためてお礼申し上げます。