文化総合学科では、1年生を対象に、毎年、文化や社会問題に触れる機会として美術館訪問や講演会を実施しています。
今回は、7月1日(水)に本郷新札幌彫刻美術館館長の吉崎元章さんをお招きし、「街なかの彫刻が語るもの」という題目でお話しいただきました。
具体的には三つのテーマに沿って話が進められましたが、第一の「彫刻とは何か」では、彫刻の定義に始まり、ブロンズ像の制作過程、量感・釣合・動勢などに着目した作品の見方や楽しみ方について解説されました。
続く第二の「野外彫刻の歴史」では、野外美術館の登場や街づくりとの関わりを例に、野外彫刻がその時代ごとの社会状況との関わりの中で広まっていった様子が語られました。
そして、第三の「野外彫刻の課題」では、近年話題となっている公共空間に裸婦像を設置することの是非や、作家が作品に込めた意図と見る側の受け取り方のズレ、そのために生ずるトラブル、また、作品の維持管理といった現実的な問題が取り上げられました。
学生たちの感想としては、道内に4000点以上も存在する野外彫刻の多さやブロンズ像の制作方法に対する驚きの声が多く聞かれました。また、さりげなく日常風景に溶け込みつつ、季節、時刻など、環境の変化に応じて異なる表情を見せてくれる野外彫刻の魅力に気づいたという感想もありました。
さらに、社会問題に関心の高い学生も多いことから、野外彫刻とそれを取り巻くコミュニティーに関する意見も多く見られました。
具体的には、裸像に美を見出すギリシア・ヘレニズム彫刻以来の伝統や、時代や身分を表す衣服の排除によって表現される裸像の普遍的美には一定の理解を示しつつも、公共空間への設置については、否定的な見解がいくらか多くを占めました。一方で、創作者の表現の自由に制限を加えることに対して疑問を呈する声もありました。
外出の機会が増える季節、このように多くの知的刺激をご提供いただいた吉崎館長に、改めて心よりお礼申し上げます。
(付記)
文化総合学科のボランティア・グルーブである「文総ちょうこくみがき隊」は、札幌彫刻美術館友の会、札幌大通公園ロータリークラブの皆さんとともに、彫刻作品の清掃活動を通して、文化財の保存に取り組んでいます。