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全学生・全教職員への保健センター長からのメッセージ

2020年3月31日
新型コロナウイルス感染症の蔓延に呑まれないために
~全学生・全教職員への保健センター長からのメッセージ~
 
藤女子大学保健センター長 藤井義博
 
現在、新型コロナウイルス感染症が世界を覆っています。この状況を生き延びるためには、ひとりひとりの感染症予防が不可欠です。そしてこの予防では、新型コロナウイルスに “飛躍的に嫌われる”ための工夫が大切です(逆に、ウイルスに“飛躍的に好かれる”ことになってはいけません)。どうして“飛躍的に嫌われる”と表現しているのでしょうか?それは新型コロナウイルスが適応するインテリジェンスを備えているからです。このように手ごわいウイルスを向こうにして、たかがウイルスと侮らず、かといって怯えることなく、インテリジェントな予防を実行していくための小さな工夫のひとつです。
そこで、ウイルスに“飛躍的に嫌われる”ために、次のように新型コロナウイルス感染症を理解することから始めましょう。
 
ウイルス感染(飛沫感染、物を介する感染)× レジリエンス=ウイルス感染症
 
新型コロナウイルスの感染(刺激)は、飛沫【咳やくしゃみで放出される粘性のないエアロゾル】感染、物を介する感染【物に付着している鼻汁やたん由来の粘性粒子による感染】の2つの様式で起きると考えられます。
しかしウイルス感染症【ウイルス感染の発症】は、感染(刺激)だけでは決まらない過程です。感染(刺激)とレジリエンス【ウイルス感染に対する心身の抵抗力】の掛け算(足し算ではありません)の結果が、感染症【感染の発症】を起こすか起こさないか、重症化するかしないかを決定します。掛け算は、足し算と違って、種々の工夫を積み重ねることで飛躍的な結果(ウイルスに“飛躍的に嫌われる”こと)をもたらすことができます。
それゆえにウイルス感染(刺激)を低減する工夫だけでなくレジリエンスが向上する工夫をしてはじめてウイルスに“飛躍的に嫌われる”工夫が完成します。
具体的には次の4種類の工夫をおこないます:①飛沫感染を低減する工夫、②物を介する感染を低減する工夫、③レジリエンス【ウイルス感染に対する心身の抵抗力】が向上する工夫、④場合によっては致死的となる肺炎の発症を早期発見する工夫。
それではこの順番で、原則とそれに基づいた具体的な工夫とそのポイントを解説します。
 
①飛沫【咳やくしゃみで放出される粘性のないエアロゾル】感染を低減する3つの工夫
原則:「ウイルスを含む飛沫は、空気中で乾燥するとウイルスの感染力は失われる」
(1)密集しない
 密集した人々の息の水蒸気が空気の湿度を上げるため、飛沫は乾燥せず感染力は失われにくい
(2)換気をする 換気をして湿度を下げると、空気中の飛沫は乾燥して感染力を失う。
(3)会話は、換気を十分している環境にて、人と人との距離を2m保持して行う 換気をして空気の湿度を下げると、会話による飛沫は2m飛ぶ間に乾燥して感染力を失う。一方、換気のない環境では息の水蒸気がこもって湿度が高いため、2mの距離を保持しても会話の飛沫は2m飛ぶ間に乾燥せず感染力を失わないため会話は安全ではない。
 
②物を介した感染【物に付着している鼻汁やたん由来の粘性粒子による感染】を低減する4つの工夫
原則:「感染者の鼻かぜのくしゃみで感染するより、感染者が手で触ることでウイルスの付着した物を介して感染する」
原則:「感染者が手で物を触って手に付着していた鼻汁やたん由来の粘性の粒子が物に付着すると、粘性の粒子表面は乾燥しても中のウイルスは乾燥しにくく、1日以上感染力を失わない」
(1)顔に手をもっていかない
 物に触った手に付着したウイルスは、乾燥しにくく感染力が保たれている。
(2)手の消毒や手洗いをする 物に触った手に付着したウイルスは、乾燥しにくく感染力が保たれている。
(3)風邪症状のあるときは外出を控える 外出して公共の物に触ると、触った物にウイルスを付着させる危険がある。
(4)公共のものは不必要に手で触らない ウイルスが付着している物を、手で触ることや、消毒しないで雑巾などで拭き取ることは、物に付着しているウイルスを手や別の物にうつすことである。
 
③ レジリエンス【ウイルス感染に対する心身の抵抗力】が向上する6つの工夫
原則「生活習慣病などの疾患をもっていると感染症が重症化しやすい」
(1)しっかりと規則的に食事をとる
 単純で不規則な食生活をしない。
(2)しっかりと睡眠をとる 睡眠を意識活動のための犠牲にしてはいけない。睡眠は身体的・精神的ストレスから体と脳が回復するために必要不可欠。
(3)体を動かす ストレッチや筋肉活動は、体と脳をリフレッシュする、気持ち・気分・自律神経機能を改善する。
(4)精神的ストレスに適応する ストレスを“発散する”(ストレスから逃れる)》だけではレジリエンスの向上につながりにくい。ストレスを“受け止める”(レジリエンスを使ってストレスに適応する)ことで、レジリエンスが向上する。
(5)マスクは気道(鼻腔、喉頭、気管、気管支)にはよい マスクは気道粘膜の乾燥を防ぎ、繊毛運動を保つ。しかしマスク自体はウイルスを通すためマスクだけに頼らないこと。
(6)楽観主義でユーモアをまじえて予防を実行する 真面目で一本槍の実行より、楽観主義でユーモアをまじえた実行が、レジリエンスを向上させる。
 
④場合によっては致命的となる肺炎(間質性肺炎)の発症を早期発見する3つの工夫
原則「間質性肺炎の早期発見は、重症化を予防するために重要である」
(1)毎日検温をする
 目的は2つ:自分の平熱を把握する(月経のある女性では月経周期における平熱を把握する)、平熱と比較して発熱のチェックを行う。必ずしも37.5℃の基準にこだわる必要はない。
(2)4日以上持続する発熱は感染を疑う 3日間の発熱は風邪などでも見られる。
(3)発熱後5~6日の階段上りや運動での息切れがあると、間質性肺炎の発症を疑う 間質性肺炎では、細菌性の肺炎で見られるたんは少なく、動作に伴う息切れや呼吸回数の増加が特徴。
 
まとめ:感染(刺激)を低減する工夫とレジリエンス【ウイルス感染に対する心身の抵抗力】を向上する工夫の掛け算(足し算ではない)が、新型コロナウイルス感染症(発症)を起こすか起こさないか、重症化するかしないかを決定します。
種々の予防の工夫をコツコツと積み重ねてゆくことが、新型コロナウイルスに“飛躍的に嫌われる”ようになるコツです。
頭のなかだけの理解ではなく、ひとつひとつの工夫を粘り強く身につけることで自分自身の財産にしていきましょう。
 

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