
松本 あづさ 准教授
Azusa Matsumoto
■所属学科:文化総合学科
■オフィスアワー: 月曜5限・火曜5限
専門分野
日本近世史、北方史
研究テーマ
「蝦夷地」と呼ばれていたころの北海道の歴史を研究しています。特に、18世紀末~19世紀の蝦夷地について考えています。この時期はロシアが千島列島を南下するなか、蝦夷地には警備のために武士が常駐するようになりました。また、漁業のために蝦夷地にやって来る和人商人も増えていました。先住民アイヌだけではなく和人人口も増加する時期の蝦夷地について、和人が残した古文書をもとに考えています。
自己紹介
北海道平取町の出身です。日本史を研究したいと思うきっかけとなったのは、大学生の時に受講した「古文書講読」の授業でした。分からない文字を埋めながら文章を完成させる作業が、幼いころから好きだったジグソーパズルと似ており、楽しかったのです。
蝦夷地の歴史に興味を持ったのは、北大附属図書館の北方資料室が所蔵する古文書や絵図に触れてからです。原史料がもつ魅力に引っ張られながら、研究をしているところが大きいです。
講義・演習
「歴史・思想」基礎演習C(1年、前期・後期[同一内容])
歴史学の基本、「史料」をもとに考えるということについて、理解を深めることが目標です。「史料」とは何かということからスタートし、「史料」の多様性・可能性を探ります。
日本史B = 日本史入門B-a(学説史)(1年、前期)
江戸時代から明治維新後の政治と対外関係について理解を深めることを目的とします。また、同時代の蝦夷地(北海道)の動向も見ることで、広い視野のなかで近世および近代国家について考えていきます。
全体を通じて、出来るだけ多くの史料に触れながら、暗記科目とは異なる日本史研究の世界に慣れ親しんでいくことを目指します。
日本史入門B = 日本史入門B‐b(学説史)(1年、後期)
近世の「政治」・「対外関係」・「社会と文化」に関わる主な論点について概説します。その際、ただ単に歴史的事件を暗記するのではなく、主要な学説とそれを形成した史料を確認しながら、専門的な日本史研究の方法を学んでいきます。出来るだけ多くの史料に触れながら、暗記科目とは異なる日本史研究の世界に慣れ親しんでいくことを目指します。
日本史特講B‐c(2・3年、前期)
蝦夷地を中心とした、前近代の北方地域の歴史に理解を深めることを目的とします。また、北海道内に残された史料を確認しながら、身近にある史料から見える歴史像にも注目します。
日本史特講B‐d(2・3年、後期)
19世紀を中心とする北方地域の歴史を概説します。一般に、北海道の歴史は近代の「開拓」を起点として語られがちですが、それ以前からのつながりをふまえつつ考えていきます。
日本史演習B‐b(2・3年、通年)
前期は、近世史料の読み方を身につけ、史料の内容に理解を深めることを目標とします。その際、蝦夷地に関する史料を用います。後期は、近世史の論文を読み、先行研究について学びます。年間を通して、史料と論文の検索方法に慣れ、卒論に向けて興味のあるテーマを独力で調べられるようになることを目標とします。
卒業研究演習(4年、通年)
日本近世史で卒業論文を書くために必要な基礎知識(先行研究と史料の探し方、論文の書き方)を確認し、史料をもとにした考察を深めながら、論文の完成をめざします。
主な業績
主な業績
論文・研究ノート(単著)
・「〝境界地域〟蝦夷地の眺め方」(『歴史評論』813号、2017年12月)
・「エトロフから長崎へ ―蝦夷地に漂着した異国人の長崎護送制度の成立― 」(『藤女子大学文学部紀要』54、2017年3月)
・「近世蝦夷地に渡来した捕鯨船」(『北海道史研究協議会会報』95、2014年12月)
・「近世後期における蝦夷地の「御用留」」(『藤女子大学文学部紀要』51、2014年2月)
・「蝦夷地の「論所」と証文」(『北海道史研究協議会会報』93、2013年12月)
・松本あづさ「近世蝦夷地における震災について―文献史料から考える1843年の地震・津波―」(『第19回北の文化シンポジウム 環オホーツク海文化のつどい報告書』19、2012年3月)
・「『浩然随筆』における松浦武四郎」(笹木義友・三浦泰之編『松浦武四郎研究序説』、北海道出版企画センター制作、2011年3月)
・「一八二〇年代のアッケシ場所について」(『北大史学』50、2010年12月)
・「薪水給与令期間の蝦夷地における異国船問題」(『道歴研年報』10、2009年9月)
・「松前・蝦夷地における異国船打ち払い」(『北海道東北史研究』3、2006年12月)
・「近世後期蝦夷地における異国船防備体制」(『史学雑誌』115-3、2006年3月)
著書(共著)
・北海道史研究協議会編『北海道史事典』(北海道出版企画センター、2016年)
・厚岸町史編集委員会編『新厚岸町史』通史編第一巻(厚岸町、2012年)
史料紹介・調査報告・科研費報告書など(共著)
・佐藤信勝, 大和田努, 松本あづさ, 谷本晃久編『君尹彦氏文書目録Ⅱ』(豊頃町教育委員会 2016年03月)
・谷本晃久,川上淳,松本あづさ編『君尹彦氏文書目録Ⅰ』(科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)・基盤研究(C)研究成果報告書、2014年3月)
・谷本晃久・松本あづさ「第二次利尻富士町鬼脇「寺嶋菓子舗文書(田中家文書)」調査概報」(『道歴研年報』14、2013年9月)
・谷本晃久・川端悠紀・松本あづさ「第一次利尻富士町鬼脇「寺嶋菓子舗文書(田中家文書)調査概報」(『道歴研年報』13、2012年9月)
・松本あづさ・三浦泰之「札幌市中央図書館所蔵 松浦武四郎自筆『交友名簿帳』」(『北海道開拓記念館調査報告』48、2009年3月)
・三浦泰之・東俊佑・松本あづさ「近藤家資料のなかの書状について(2)―嘉永七年(1854)幕吏蝦夷地巡見随行関係文書―」(『北海道開拓記念館調査報告』47、2008年3月)
・三浦泰之・松本あづさ「近藤家資料のなかの書状について(1)」(『北海道開拓記念館調査報告』46、2007年3月)
・松本あづさ・三浦泰之・東俊佑「近藤家資料のなかの異国船関係史料」(『北海道開拓記念館調査報告』45、2006年3月)