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  • 【人間生活学科】フィリピン研修(フィールドワークB)

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    フィールドワークBでは、フィリピンのセブ市にあるサンカルロス大学との協定に基づいて、セブ島でのフィールドワークを行ってきました。前回までは世帯調査を行ってきたのですが、今回は、1)人間生活学科あるいは人間生活学部と重なる領域でサンカルロス大学がどのような教育を行っているのかを、先方のブリーフィング、学生・教員へのアンケートと聞き取り調査を通じて調査し、本学部・本学科との比較という観点から、調査内容の発表をしてきました。2)サンカルロス大学モンテッソーリ研究所と人的交流のあるリーチセンターを訪問し、聞き取り調査を行ってきました。

    1)に関して調査したのは、芸術建築学部の建築学科と芸術学科服飾美術コース、健康専門職学部の食物栄養学科、教育学部でした。芸術建築学部の大きな特徴は、プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)を大幅に取り入れていること、他コースや海外提携校とのコラボレーションを授業のなかに取り入れていることでした。これは、本学部や本学科が目指すべき方向と一致しており、大いに参考になりました。

    例えば、フィールドワークBでのフィリピン研修はこれまでセブ市の南にあるアルガオ市で行っており、そこにサンカルロスの学生と教員も参加していましたが、これは建築学部が行っている地域貢献型授業のシステムに組み込まれていました。地域貢献型プロジェクトとしてもう一つ紹介れたのが、セブ市の北隣にあるマンダウエ市の河川改修プロジェクトでした。これは実際にマンダウエ市に対してプレゼンテーションを行ったもので、設計コース、景観コース、建築デザインコースの学生と教員のコラボレーションをベースにしていました。

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    芸術学科服飾美術コースでは、毎年、企業向けの商品企画を想定して、統一コンセプトに基づく作品作りを行っています。いわば、コンペを模擬的に実施しているわけです。その際に美術コースの学生が、服飾コースの学生が制作した衣装に、そのコンセプトに対応する絵を描くことで、両コースのコラボレーションが実現していました。
     

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    教育学部では、主専攻、副専攻の選択制がとられていました。この制度も本学部・本学科が構想してきたものです。学部の設置目的は教員養成なのですが、現状では、教員養成課程を副専攻とする学生も多いようです。アンケートに答えてくれた学生の多くは、将来の進路として教員を考えていませんでした。その理由の一つに教員、特に公立学校の教員の社会的威信の低さがあるようです。学生アンケートによれば、教員は一方向的な授業さえしていればよく、収入はそれなりにあるにしても誰でもできるようなイージーな職業、というイメージでした。日本では教員はそれなりの威信をなお保持していますが、それとは大違いでした。
    逆にそうした職業だからということもあるかもしれませんが-日本にあるような過酷な勤務による教員の休職とか離職、モンスターペアレントの問題などは、アンケート結果を見る限り皆無でした。

    教育学部で本格的に教員を目指す学生に特徴的だったのは、モンテッソーリ教育の権威でした。モンテッソーリを学びたいからサンカルロス大学教育学部に進学し、教職課程で学びながら、副専攻でモンテッソーリ教育を修得し、それを生かすために幼児教育や障害児教育の専門家になる、と将来を明確に見据えている学生もいました。なお、日本とは違って教員免許状は国家試験に合格しなければ与えられません。

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    健康専門職学部食物栄養学科は、新しい学科でした。国民の平均余命、栄養摂取状態などの改善を目指して、公衆栄養に関わる専門家の育成を進めるというフィリピン政府の政策に則る方向でできた学科です。同学部には他に看護学科と薬学科があります。できたてということもあってか、設備は本学の食物栄養学科に比べて貧弱でした。見学した範囲では、測定装置や分析装置、大量給食設備などは見あたりませんでした。資格取得に必要な単位数は、フィリピン政府が定めた基準よりは多いものの60数単位でした。日本の栄養士課程よりは多いものの、管理栄養士課程よりははるかに少ないものでした。ただ、日本の栄養士とは違って、フィリピンの場合は国家試験に合格しなければ栄養士となることはできません。
    その他の日本との違いといえば、栄養士の社会的地位が高い、中より上ということでした。栄養士のいうことはよく聞いてくれるそうです。病院食のカロリーが日常食より高い。(日常食でのカロリーの目安は日本と変わらないが、病院食の目安は3食で3000キロカロリーとのことでした。英語を聞き違えたわけではありません。)学生が軽食を提供してくれましたが、普通のフィリピン人の食事と同じく野菜はありませんでした。
    食物栄養学科は、日本と比べるといろいろ課題がありそうですが、とにかく野菜は食べない、野菜を食べるのは肉や魚を買えないからといった食習慣のフィリピンでは、社会的な要請はますます高まるでしょうし、栄養と食生活に関する国民の関心が高まれば、設備や教育内容も高度化していくものと考えられます。

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    2)リーチセンターは、日本語にあてはめれば障がい児自立支援センターです。障がい児の社会的な自立を目指して、障がい児とその保護者の力を高めることが、センターの狙いでした。フィリピンの社会福祉・社会保障・障がい児教育等の制度や現状には触れることはせず、ここではこのセンターの特徴だけを紹介します。
    NPOの財団で、寄付と通所料で運営されています。スタッフの中核は、モンテッソーリ教育を学んだ大学卒業者です。幼稚園=教育施設、保育園=福祉施設という日本的な分類でいうと、教育施設に近いと思います。

    ただし、日本の障害児教育が幼児教育段階、初等教育段階、中等教育段階と分かれているのとはちがって、学齢前の子どもから18歳までの青少年までが通っていました。目的は、障がい児本人の特性(障がいの種類と程度、言語能力など)に応じて、社会的な自立あるいは承認をめざすさまざまな訓練を行うというものです。訓練の種目はセンター内に直線的に配置されていて、障がい児自身がいまどの段階にいるのかが直感的に把握できるようになっていました。個々の種目はさらに細分化されていて、クリアするごとにチェックリストに子ども自身がチェックを入れることで、課題の達成を自分で確認できるようになっていました。また、子どもがクレームをつけることはネガティブなこととはされていませんでした。訓練のなかでは、数理的能力と空間把握能力が重視されていました。
    もうひとつの大きな特徴は、保護者あるいはその代理人が立ち会うことが義務化されていることです。これも、日本の障がい児教育ではないことです。
    学校教育との関連、児童福祉との関連などまだわからないことは多くありましたが、日本にはまず存在しないこうしたあり方には、感銘を受けました。

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    今回は、休日を利用してボホール島にでかけることができました。観光地として有名なボホール島ですが、スペインの初代フィリピン総督となったレガスピが無血で支配できた島といわれていて、多くの古い教会建築が現役で残っています。(この前の大地震で倒壊したままのものもあります。)今回は、そうした教会のいくつかを見学した後、チョコレートヒルズ、世界最小のメガネザル「ターシャ」、リバークルーズというボホールの三大お約束ツアーを楽しんできました。

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    今回は、人間生活学科を8月に訪れたサンカルロスの学生が私たちの訪問をアテンドしてくれました。それが学生同士の交流をいままでにないほど濃密なものになり、研修そのものを深いものにしてくれました。
    サンカルロスの学生の皆さん、それを支えた教員の皆さんに深く感謝します。ありがとうございました。またあいましょう。

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